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2色型放射温度計はどのように機能する?

高温放射温度計(パイロメータ)は、大型の炉やキルンなど、その高温な表面を測定するためによく用いられている温度計の1種です。この温度計は物体や表面の温度を、その熱放射をもとに測定します。 標準的な単色放射温度計では正しく温度を測定できない用途もたくさんあります。たとえば次のような場合です:

  1. 小さい対象物(小さすぎて視野を満たせない)
  2. 埃や煙、蒸気など、視線を遮るものがある
  3. プロセスとの間にある窓が汚れ、その清浄性を保つのが難しい
  4. 製品の放射率が変化する(合金や表面の状態が変わるため

Enduranceシリーズのような2色型放射温度計なら、こうした問題のある条件下でも適切に動作し、正しい温度を測定できます。

2色型と単色型の放射温度計では何が違う? 2色型放射温度計は、1つの筐体に2つの単色温度検出器を収めています。この2つの検出器を用いて、2つの波長を個別に測定します。ただし、どちらの検出器も同じ対象物に当てられています

Implementation scheme for a ratio pyrometer using 2 detectors in a sandwich structure

2つの検出器をサンドイッチ構造として用いた2色型放射温度計の模式図

 

信号が減衰する場合

では、高温な対象物からの信号がいくらか減少したり、検出器への到達が遮られた場合はどうなるのでしょうか? こうした状況は、測定用の窓が汚れていたり、対象物が小さすぎて視野を満たさない場合や視線の途中に煙が存在する場合などに発生します。茶色のグラフは、対象の温度は1500℃と変わりませんが、測定の信号が90%失われた場合の例を示しています。これは、見かけの放射率が1.0から0.1へと低下した場合と同じです。

検出器1は、50の信号を出力します。.

検出器2は、100の信号を出力します。

2色型温度計であるため、1000を500で割って、その比2が得られます。この温度計では、比が2になった場合に測定値が1500℃となるように校正されています。

プランク分布―2つの検出器を備えた2色型温度計で、温度1500℃の黒体を測定

プランク分布―2つの検出器を備えた2色型温度計で、温度1500℃の黒体を測定

 

信号が減衰する場合

では、高温な対象物からの信号がいくらか減少したり、検出器への到達が遮られた場合はどうなるのでしょうか? こうした状況は、測定用の窓が汚れていたり、対象物が小さすぎて視野を満たさない場合や視線の途中に煙が存在する場合などに発生します。茶色のグラフは、対象の温度は1500℃と変わりませんが、測定の信号が90%失われた場合の例を示しています。これは、見かけの放射率が1.0から0.1へと低下した場合と同じです。

検出器1は、50の信号を出力します。

検出器2は、100の信号を出力します。

いずれの信号も、上の曲線(放射率E=1.0)に比べて、90%低くなっています。このように信号の90%が失われた場合であっても、100を50で割るとその比は2となり、1500℃であると測定できます。ただし、どの2色型温度計でも、信号の減少をどこまで許容できるかについては限度があります。これを減衰率と呼び、信号の0%から高いものでは95%までと様々ですが、それでも精度の高い温度を測定できます。

 

Eスロープ

基本的に2色型温度計は、片方の波長ともう一つの波長に同じ割合で影響があった場合に限り、適切に機能します。しかし残念ながら、たとえば溶融金属を測定する場合など、物体からの放射率は2つの波長で異なる場合があります。2色型温度計で溶融金属を測定すると、信号比(スロープ)は不正確になり、温度測定値に誤差が生じます。

どうすればこれを補正できるのでしょうか? すべての2色温度計がEスロープ呼ばれる調整値を備えています。溶融金属を測定する場合、測定機が正しい溶融温度を示すまでこのEスロープ調整値を変化させます。正しい温度は、熱電対を犠牲にするなどして得ることができます。こうしてEスロープという定数の調整によって、対象物の放射率が波長に応じて異なる場合にも温度計の指示値を修正し、簡単に比を補正できます。一度Eスロープを調整しておけば、その温度計では煙や蒸気、埃、小さすぎる対象物などの問題を適切に扱うことができます。