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固定式サーマルイメージングの産業的価値を向上

2021年01月12日
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継続的な温度監視によって、安全性、製品の品質、生産性、そして信頼性が向上します

プラント内に不明なホットスポットがあると想像してみてください。これは設備表面の劣化から設備故障につながる兆候かもしれません。または逆に、これがお客様の食品レシピや医薬品プロセスに影響をおよぼし、不良製品バッチが生じることも考えられます。さらに酷いケースでは、不適切なアース処理によって、作業員の安全が脅かされる危険が迫っているのかもしれません。 サーマルイメージングは工業用監視・点検に不可欠です。サーマルイメージャーによって、過熱、温度不足、ホットスポット、その他の不適切な温度条件を早期に発見し、手遅れになる前に予防的に対処することが可能になります。プラントも作業員も警告的兆候に気づくことができなかった時代に比べれば、これは記念すべき改善でしょう。 工業的環境では、サーマルイメージングに携帯型赤外線(IR)カメラを使用し、従来は定期的な状態点検用として使用されてきました。これがさらに発展し、重要な設備、システム、プロセスまたは安全条件を毎日24時間継続的または断続的に監視できる固定式サーマルイメージング機能が誕生しました。さらに、タブレットや同等のデバイスを使った遠隔監視も可能となっています。ここで使用されている高機能カメラは、固定位置に搭載され、工場自動システムに統合されています。さらに、異常または不整合な温度イベントが検知されると、直感的なソフトウェア分析によって自動的に通知が生成されます。 ますます手頃な価格になるこの技術が誇る能力のおかげで、イメージングによる温度監視とコントロールアプリケーションは企業内のあらゆる場面でご利用いただけるようになっています。Fluke Process InstrumentsのThermoView TV40 サーマルイメージングシステムに代表されるような現代の多目的ソリューションは、安全性点検、製品品質チェック、プロセスコントロール、予防的メンテナンス等の重要機能を簡素化します。

TV40 Thermal Imager in utilities monitoring

サーモグラフィを活用

固定式サーマルイメージングは遠隔による監視、傾向分析、温度管理のための非接触式温度測定技術です。これによって、不適切な温度条件や危険な状況を表面化させ、適切な措置を予防的に講じることができるようになります。以下では、このテクノロジーが持つ工業的スペースでの膨大なポテンシャルを示す実例をご紹介します。

Thermal imaging in industrial food oven オーブン内で焼成後、コンベヤへ高速移動されるパイの(ビデオから)静止画像。 TV40が出力温度をPLCへ送信する前にトリガーライン(ユーザープログラミング可能)がパイの中に完全に入る必要があります。

作業員の安全性

固定式サーマルイメージングシステムは、火災やフラッシュオーバー、壊滅的な不具合や関連する危険を予防するためのセーフティツールとしてご活用いただけます。カメラがホットスポットやその他の温度異常を毎日24時間検知し、一定条件を超えると、自動的に適切な人員に警告通知するため、問題の緩和や除去といった適切な措置を講じられるのです。 TV40では特に、「関心領域」のプログラミングが無限に行なえるため、拠点の境界を超えた温度の継続的監査が可能となります。温度が設定パラメータを超えると、出力アクセサリと自動アラーム機能が作動します。これによって、該当領域内のオペレータに危険がおよぶ前に音響アラーム、ビーコンまたは停止機能が作動するのです。 溶銑の入ったベッセルが付近の作業員の安全に大きな危険を脅かしているケースを例にとってみましょう。ある銅溶解プラントでは、固定式サーマルイメージングシステムを導入し、キルンの鋼鉄外壁温度を継続的に監視し、耐火性部品の破壊を招く恐れのあるホットスポットを検知できるようにしています。またある製鉄所では、サーマルイメージャーを取鍋表面における不整合な温度やホットスポットの検出に使用し、事前に設定されたパラメータを超えた場合にオペレータへ通知が送られるようになっています。いずれの事例でも、固定式サーマルカメラによる温度の不整合性の早期検知によって、不良バッチから生じるコストの回避やカメラ購入にともなうROI回収期間の短縮を実現しています。

Thermal imaging in chemical processing plant 重要設備の監視プログラムの一貫としてサーマルイメージングシステムをベッセル外部の監視用に使用している化学処理設備の例

固定サーマルイメージングは他にも、個々の技術者を必要とする携帯型カメラでは不可能な常時作動型および常時監視型カメラを使用することで、作業員の安全性に注視しているものもあります。
  • 食品産業、医薬品産業、化学処理工場で使用されているオーブンの安全な運転について考えてみましょう。ゴム系製品を製造するある工場では、ここで使用されている閉鎖型化学薬品炉に固定型イメージャーを向け、炉を開く前の製品の温度を確認し、オペレータの安全確保と火災防止に役立てています。
  • 固定式イメージングシステムは変電設備等の遠隔監視に使用され、現場点検の危険を除くため、適切な安全対策による慎重な計画にもとづくメンテナンス作業の実現が可能になります。
  • さらに、重要設備の遠隔監視によって、特にクリーンエネルギー分野等、拠点が広範囲に広がっているようなケースで、複数拠点における現場点検にかかるコストを節約することができます。
  • また、石炭やバイオマスの貯蔵施設におけるホットスポットの検知による自然発火や大きな火災の防止等、周囲環境の監視用としても役立ちます。
動型ツールは(事前設定されたユーザーパラメータにもとづいて)迅速にアラームを発信するため、自動的な補正レスポンスや人的干渉による是正措置につなげることが可能です。さらに、カメラをCMMS、データヒストリアンやこれらと同様の設備管理データベースに統合することで、サーマルデータの収集を簡素化させることができます。

製品品質

何を製造するにせよ、たった1つ不良バッチがお客様の手に渡る前にそれを見つけることができたなら、そのシステムの費用対効果はいくらでしょう?サーマルイメージングシステムは、製品の品質向上、製品仕様の検証、温度に敏感な製品のトレーサビリティ確保、再加工率の最小化に役立ちます。赤外線・可視光の照準、および温度の変化や仕様外の条件に関する自動アラート機能によって、生産スタッフは迅速に必要な調整措置を講じることができるようになります。 現在、固定式サーマルイメージングを焼成オーブンで使用し、継続的監視機能を導入している某食品メーカーでは、製品が正しい温度で調理されたことをオペレータが確認してから包装を行なえるようになっています。ある自動車用ガラスメーカーでは、加熱されたリアウィンドウデフロスターグリッドの電気ストリップが仕様通りに機能しているかの合否結果を迅速に取得しています。化学業界のある製造現場では、セラミックライニングが施された製品上のホットスポットの検知に使用し、最終製品の全体的な品質が過度な加熱によって低下していないかを確認しています。 継続的なプロセスが行なわれているなら、TV40をプログラミングしてイメージを取得し、製品不良のたびにデータを記録することも可能です。8時間シフトの間に、ユーザーはプログラミングされた仕様に不合格となった製品の全てを見直し、どの製品が不合格となったかだけでなく、その理由も調査することができるのです。

Monitoring a hot spots within the ladle

プラントの生産性

固定式サーマルイメージングによって赤外線・可視光による照準を継続的に実施し、不整合性や極度に高い温度を検知するため、プロセス管理と処理能力の向上にも役立ちます。これによって、オペレータは効率的に是正措置を講じることができる、またはユーザー定義コマンドによってシステムにプロセスをコントロールさせることができます。 使用しています。また、あるハイカーボンスチール処理工場では、固定式サーマルイメージングシステムを使用して、均等な加熱を必要とするカスタマイズプロセス中の製品温度を監視しています。いずれのケースでも、プロセスコントロールシステムが固定式サーマルイメージングとともに導入され、ユーザー定義コマンドによって再加工コストの削減、処理能力と稼働率の向上を可能にしています。

設備の信頼性

設備の稼働率向上はサービスの信頼性と顧客満足度にも非常に重要な要素です。携帯型カメラはデータを収集する限りは有益です。しかし、固定式またはPTZサーマルイメージングシステムによる毎日24時間の監視がなければ、重要な設備のホットスポットに気づかずにバッチ不良が発生したり、最悪の場合には設備の壊滅的な不具合や予定外のダウンタイムが生じてしまうかもしれません。例えば、ある電気事業者ではサーマルイメージングシステムを遠隔トランスブッシングとジェネレーターブラシアセンブリの継続的監視と予防的メンテナンスの目的で使用し、システムの信頼性と効率の向上に役立てています。ブッシングへの負荷が増えると予測不能な加熱につながることがあり、固定式イメージャーが熱を帯びた個々のスパイクを検知しなければ、これらの温度変動を把握して設備の運転を維持することはできないでしょう。

Monitoring a hot spots within the ladle 重要設備の高温監視によって取鍋内でのホットスポット発生を防ぐ。

高性能サーマルイメージング

上記のような、または同様の用途であれば、ThermoView TV40 サーマルイメージングシステムを使用することができます。TV40システムでは、固定式カメラまたはPTZカメラ、複数カメラの配置等、複数の技術オプションへの対応を可能としているとともに、ネットワークシステムおよびデバイス(携帯電話、ノートパソコン、タブレット等)のカメラデータに遠隔アクセスできる機能も統合できます。 多目的カメラとソフトウェアパッケージはクリティカルな工業用モニタリング用途に特化して設計されています。イメージャーは可視画像と赤外線画像の両方を取得、表示、記録し、設定された関心領域を継続的、断続的または独立して監視するようにカスタマイズできます。これによって、実用的な分析を作成し、パラメータが設定中の温度領域を上回ったり下回ったりするとユーザーがプログラミングしたアラームを生成し、メール、Modbus、EtherNet/IPまたはデジタル出力を介して発信します。アラームが生成された場合には、該当箇所の画像を取得し、技術者にメールで送信することができます。 TV40イメージャーは非常に厳しい環境下での使用向けに設計されており、複数のマウントオプションを備えています。また、スタンドアロン型としても、コントロールシステムにネットワーク接続しても使用することができます。大規模なプロセスまたは領域は複数の固定式カメラまたはシングルパン・チルトカメラで監視することができます。厳しい環境下での使用に対応したIP66のパン・チルトアクセサリハウジングは連続360º回転および上方向へ-40º、下方向へ 90ºの角度での動作を可能としています。高温用筐体や屋外用筐体といった追加アクセサリ、拡張可能なデジタル・アナログI/Oオプションを備えたエアパージシステムが、様々なレベルでの保護およびコントロールへの対応を可能にしています。 このシステムのThermoViewソフトウェアによって、温度傾向、差温、絶対温度をリアルタイムで把握しやすくなります。ここでは、サーマル画像とライブの可視光画像を連続的に同時に並べて、分析とともに表示し、プロセス、製品、拠点を常時コントロールできるようにしています。 食品向けオーブンから製品バッチ品質の分析と電気安全性の向上を目的とした変圧器の運転の監視にいたるまで、ThermoView TV40のような固定式サーマルイメージングシステムがプロセス運転と作業員の安全性の向上を助けます。